交通事故は突然にやってきます。どれだけ自分が気をつけて運転していても、相手がいることなので、避けられない場合があります。
特に、後方からの追突事故は避けられません。
信号待ちをしている時に後ろからドカン! 何が起きたか分からないですし、避けようもありません。
過失割合がゼロの追突事故の場合、加害者側の保険会社に治療費を支払ってもらうので、被害者の自己負担はありません。
なので、あなたが入っている自動車保険に保険金の請求をしなくてもいいように思えますが、
加入している特約の中には、等級の低下や保険料の増加をすることなく、請求できる特約があります。一つは、弁護士費用特約で、もう一つは搭乗者損害保険です。
今回は搭乗者障害保険について説明します。
搭乗者傷害保険とは?
搭乗者傷害保険とは、車に乗っている人(運転手を含む)が交通事故でケガをしてしまったときの損害を補償する保険です。この保険を使っても翌年の等級には影響が出ません。
もし、あなたが交通事故に遭ってあなたを含む同乗している人が亡くなった、怪我をした場合に、死亡保険金、医療保険金などを定額でお支払いをする制度です。
請求したら掛け金が上がるんじゃないの?
自動車保険を更新した翌年の掛け金、また等級に変更はありません。
特約(オプション)ですので、オプションを請求しても基本契約には影響しないということです。
いつ支払われるの?
相手の保険会社から慰謝料を支払ってもらうのは、治療が終了して示談が終わってからとなります。
なので、治療終了後早くても2~3ヶ月くらいかかります。
一方で、搭乗者傷害保険は自身が加入する保険会社に請求しますが、一定の条件を満たすと治療が完了していなくても請求が可能です。
搭乗者傷害保険と人身傷害補償保険の違いは?
搭乗者傷害保険と人身傷害補償保険、どちらも聞くけど、何が違うのでしょうか。
- 「人身傷害保険」には、補償の範囲が限定されますが、保険料が安くなる「人身傷害保険(搭乗中のみ)」(人身傷害の被保険自動車搭乗中のみ補償特約をつけた人身傷害保険をいいます)もご用意しています。
- 二輪自動車、原動機付自転車、主に運転される方およびそのご家族が所有・常時使用されているお車などは除きます。
- ご契約のお車に乗車中の方が補償されます
- 以下の方が補償されます。
1.主に運転される方(記名被保険者) 2.1の配偶者 3.1または2と同居している親族 4.1または2と別居している未婚の子 5.1~4の方が運転中の他のお車に乗車中の方など- 5以下の方が補償されます。
1.主に運転される方(記名被保険者) 2.1の配偶者 3.1または2と同居している親族 4.1または2と別居している未婚の子
人身傷害保険はあなたが契約していない車(例えば、友人など)に同乗中に事故に遭ったとしても、あなたが加入する保険を請求できるということです。
一方で搭乗者傷害保険は、契約する車で事故に遭わないと請求できません。
人身傷害補償保険 搭乗者傷害保険 補償の対象 記名被保険者やそのご家族が自動車事故に起因して死傷した場合や他のお車に搭乗中の事故(※)によって死傷した場合も補償の対象となる。
また、記名被保険者やそのご家族が運転しているお車、または契約自動車に搭乗中の方が事故によって死傷した場合も補償の対象となる。契約自動車に搭乗しているときの事故によって死傷した場合のみ、補償の対象となる。 補償内容 ケガをした場合の治療費や休業損害、死亡した場合の逸失利益などが補償される。
(ご契約金額がお支払額限度)ケガなどによる死亡・後遺障害・入院・通院などに応じて、一定の金額が支払われる。
(あらかじめ設定された金額)
また、人身傷害保険は実際にかかった治療費などすべてを計算をして保険金を支払います。
一方で搭乗者傷害保険は一定の条件をクリアすると、迅速に支払いが行われます。
追突事故の場合は人身傷害補償保険は請求する?
追突事故の場合、過失割合はない場合が多いです。あなたに過失割合がない場合は、相手の保険会社から治療費、慰謝料などすべての損害を支払ってもらうことになります。
なので、人身傷害補償保険は請求しません。
一方で、搭乗者損害保険は追突事故などの場合で、あなたに過失がなくても請求できます。
すべての搭乗者が補償を受けられる搭乗者傷害保険
対人賠償保険や対物賠償保険の場合、補償されるのは事故の相手の身体や持ち物のみです。
一方で搭乗者傷害保険は契約している車に同乗していた人すべてが補償の対象になります。
相手の保険会社から損害賠償金が支払われていても搭乗者傷害保険は請求できる?
他の保険金や賠償金が支払われている場合も、それらの影響を受けずに保険金を受け取ることができます。
契約する車を運転中に交通事故に遭ってしまった場合は、どんな事故であったとしても補償されるということです。
例えば、あなたが追突事故を起こしてしまった加害者である場合やガードレールとの接触事故の場合もです。
しかも、搭乗者傷害保険は等級に影響がありません。なので、値上がりするかもしれないから保険金を請求しないほうがいいのでは?と思う必要は一切ありません。
搭乗者傷害保険が支払われるケース、支払われないケース
契約している車を運転中に事故をした、されたからと言っても、全てのケースで支払われるわけではありません。
保険会社によっても内容は違いますが、大まかには以下のようになります。

違反をしていたり、交通事故が原因じゃないと支払われない、ということです。
- 交通事故が原因で入院や通院した場合
- 交通事故が原因で後遺障害が残った場合
- 交通事故が原因で後遺障害が残り介護などが必要になった場合
支払いが行われるケースとしては、違反をするようなことをしていなければ保険金の請求ができます。
ゴールド免許限定と契約はなっているのに、ブルー免許だったりと虚偽の申請をしている場合、保険金の請求ができません。
なので、保険更新の時に正しく申告することが大切ですね。
自動車保険に加入するときに車検証を見ながら型式などを入力してきますが、アルファベットが違ったりすると契約対象外の車での事故となり、保険金の請求ができません。注意しましょう。
保険金額はいくらぐらいもらえるの?
保険会社によっても請求できる金額は違いますが、SBI損保の場合は以下のようになっています。
- 死亡・後遺障害保険金
1名あたりの補償限度額を以下からお選びください。
500万円、1,000万円、2,000万円
- 医療保険金
治療日数(入院または通院の日数)が4日以下の場合:
1回の事故につき1万円治療日数が5日以上の場合:
1回の事故につき10万円SBI損保:搭乗者傷害保険から引用
一度あなたが加入している保険会社のホームページを確認するか問い合わせをしてみましょう。
交通事故に遭った場合、交通事故ごとに担当者がつきます。
担当者からどのような保険が適応されるのか教えてもらえます。
わからないことがあれば聞いてみましょう。
請求方法
搭乗者傷害保険の請求はとても簡単です。
交通事故の報告をしたのち、保険会社から「同意書」が送付されます。
この「同意書」は保険会社が病院へ問い合わせをするときにあなたの通院履歴や治療内容の記載されたカルテを見てもいいですよ!というものです。
- 通院・入院している(した)病院名
- 病院の住所
- 電話番号
- 診察券のコピー
以上を提出するのみです。
接骨院・鍼灸でも通院とみなされる?
医学的に治療を行えるのは医師しかできませんが、保険会社によっては、柔道整復師の国家資格を持つ整骨院への通院も認めています。
国家資格 治療方針 保険適用 治療費・慰謝料請求 整骨院・接骨院 柔道整復師 マッサージなど物理療法・施術 原則、適用される 不可能な場合がある 整形外科 医師 診察・治療・投薬など医療行為 適用される 可能
鍼灸への通院は、医師の同意書が必要となります。医師に同意書を書いて貰える場合のみ通院が可能となります。
接骨院へ通院する場合は、注意点があります。
こちらも合わせてお読みください。
交通事故に遭ってしまった場合、まずは整形外科などの病院に行ってレントゲンやMRIを撮影してもらうことが多いはず。 でも、所見が見られずに外傷もない場合、接骨院への通院をしようと考えている方も多いのではないでしょうか。 整形外科は[…]
人身傷害補償保険との組み合わせはどうする?
人身傷害補償保険に加入をしていると、実際に掛かった治療費などをすべての費用を請求することができます。
一方で、搭乗者傷害保険は、ケガの大きさに関わらず、一定の金額が支払われます。
交通事故が原因で通院、入院することになるとなにかと費用がかかりますよね。
人身傷害補償保険は治療が終了してからでないと支払われませんので、身の回りのものを購入する場合、すべて自費になってしまいます。
交通事故がなければ、買う必要のないものですからね、なぜ?と感じてしまいます。
みんなはどれくらい加入している?
半数以上の方が人身傷害補償保険と搭乗者傷害保険どちらにも加入しているのが分かります。
やはり、車同士の事故は、ケガも大きくなりやすいですからね。
セットで加入するのが良さそうです。
まとめ
搭乗者傷害保険は過失割合が100%であったとしても、0%であったとしてもどちらでも請求できます。
・ケガの大きさに関わらず一定の金額
・保険金を請求しても等級に変更はない