交通事故といっても、救急車を呼ばないといけない事故から、車同士がかすっただけの事故などいろいろあります。
人にケガがなく、車の修理だけで済むなら「物損事故」、病院に行きケガをしているなら「人身事故」となります。
では、この2つの「物損事故」と「人身事故」、処理の仕方によって何が変わってくるのでしょうか。
今回は、違いについて詳しく解説していきます。
年間事故発生件数
全国で年間43万件の人身事故が発生しています。
物損事故は550万件です。
この550万件の事故は、単独事故も含まれますが、本当に人にケガがなかったのでしょうか?
車同士の事故なら、人が同乗しているはず。大体の人が、「大丈夫だから」と軽い事故でしたら物損事故として処理しているということもありえると思います。
人身事故と物損事故の違い
交通事故には、「人身事故」と「物損事故」があります。
交通事故の中でも、自損事故とも呼ばれ、車やカードレール、建物などの物に損害を与えた事故を「物損事故」。
交通事故で人間の身体・生命に損害が発生した場合を「人身事故」といいます。
交通事故に遭ってしまった場合、加害者(加害者の保険会社)から慰謝料をもらえるのでは?と思うはず。
でも、慰謝料を支払ってもらえるのは、「人身事故」のみです。
それは、物損事故の場合、自賠責保険は適応されないからです。あくまでの「対人に対しての補償」を目的としているからです。
加害者にとっては「物損事故」のほうが都合がいい
交通事故で「人身事故」扱いにしないとは
交通事故に遭ってしまった時、加害者側の保険会社が「物損事故」でも治療費は出ますよ~というケースがあります。
物損事故なのに治療費が出るの?と不思議に思う部分もありますが、保険会社にとっても、加害者にとっても、物損事故で処理をするほうが都合がいいからなんです。
加害者や加害者の保険会社にとって「物損事故」扱いにすることは何がメリットなのでしょうか。
加害者にとってのメリット
メリット1
「物損事故扱い」の場合、免許の点数が加算されないことが挙げられます。一方、人身事故の場合には、必ず免許の点数が加算されます。
※ただし、物損だけでも「道路交通法違反」の場合は、点数が加算されます。また他にも「建物を損壊した場合」等でも点数が加算されます(道路交通法施行令別表代二の二)。
また事故の程度によって、「免許停止処分」や「免許取り消し」になる可能性もあります。
免許の点数に減点がないというのは大きいですね。
罰則がないということは、保険の等級も下がらないこともあるということです。
実際には車の修理代など請求しますので、等級に変更があるかもしれませんが、人身事故ほど悪くはならいないということです。
メリット2
物損事故扱いになると、加害者は刑事罰(例えば罰金刑)を受けません。一方、人身事故の場合には、過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪が適用されるという大きな違いがあります。
罰則はなるべく受けたくないでしょう。
毎日車を運転しているドライバーならなおさらです。人身事故を起こしてしまった場合、免停何日間となることもあります。
そうすると、仕事に支障がでてしまいます。なら、加害者にとって刑事罰がない物損事故のほうが断然いいですよね。
メリット3
この部分は加害者本人ではなく、保険会社のメリットです。
それは、物損事故の場合、慰謝料はありません。慰謝料はあくまでも、人がケガをしてしまったことに対する補償の部分ですから、物しか壊れていない「物損事故」の場合は、支払われるのは車の修理代くらいでしょう。
そうすると、結果的に、支払額が少額で済みますよね?
メリット4
物損事故の示談は、修理後1-2カ月、人身事故の示談は、治療完了後、2-3カ月です。ここには大きな違いがあります。
おおまかには、車の修理は事故後1カ月ほどで終わります。むちうちなどのレントゲンに所見が見られない場合は、本人の自覚症状によっても変わりますが、一般的に3~6カ月で完治するのではないでしょうか。
医師がこれ以上治療を続けても良くならない、とう地点を症状固定と呼んでいますが、この症状固定はむち打ちの場合で、最大6カ月が一般的です。
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物損事故にしたがる加害者の特徴は?
タクシードライバーなどの交通事故に慣れている人ですね。
タクシー会社には交通事故に遭った場合、どのように対処するのかマニュアルも存在しているところもあるようです。
それと、点数がギリギリな人ですね。
あと一回の違反で免停になってしまう場合、なんとかして免停を免れたいと思うのではないでしょうか。
被害者は加害者の事情など考える必要がない
交通事故を起こしたのは人の事情を考える必要はありません。
病院に行くことが必要であれば病院に行けばいいでしょう。
事故を起こされたのはあなたです。自分や家族の安全、身体のことを一番に考えればOKです。
直接断りにくい場合は「後日連絡する」と言って立ち去ればOK
警察が来て、実況見分をしたあとに、保険会社などの連絡先を交換します。
その後は、加害者と連絡のやりとりをすることはありません。やりとりは加害者側の保険会社とします。
なので、現場で断りにくい場合は、「後日連絡します」とだけ伝えればいいと思います。
念の為、病院に行きましょう。そして、診断書を書いてもらい、人身事故に切り替えをすれば済む話です。
被害者にとって「物損事故」は都合がデメリットしかない
交通事故被害者にとって、ケガをしているのに「物損事故」として届け出をすることはデメリットしかありません。
慰謝料がない
慰謝料が発生するのは「人のケガ」に対しての補償のみであり、「物」は補償の対象外です。
ケガをしていて大変な思いをしているのに、慰謝料が一切支払われないなんて考えただけでもゾッとします。
後遺症が残るかもしれない場合は、その分の慰謝料すらもらえません。
人身事故に切り替えをした場合は、これだけの慰謝料がもらえます。
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治療費なし
物損事故として届け出がされている場合、「念の為病院に行きたい」というケースであったとしても、基本的に治療費は出ません。
治療費が保険金から支払われないということは、被害者であるあなたは自賠責保険に被害者請求をするか、自費で健康保険を使って通院しないといけません。
被害者で本来は治療費を支払って貰えるべき立場なのに、自費で通院なんてありえません!
ただ、保険会社によっては、被害者が物損事故で処理をしたとしても、治療費を払ってくれる場合があります。
物損で処理をしてもいいと言っているのに、治療費がでないから、仕方なく人身にしないといけないケースもありますからね。
その場合、結果的に保険会社の負担する金額も多くなりますし、加害者も免停、罰金など罪が重くなります。
そういった理由から実務では、物損事故扱いになっていたとしても数回の治療費なら支払ってくれる保険会社もあります。
加害者の立場になった場合
自分がもし加害者になったら、今加入している保険会社はどのように対処するのかな?と気になりますよね?
SBI損保なら、「物損事故扱いでも構わない」と被害者の意向があれば、物損事故のまま治療費の支払いを行ってくれます。
今加入している保険会社が物損のままでは、治療費は出せないというのであれば、保険会社を変更することをオススメします。
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「実況見分調書」が作成されない
物損事故の場合は、簡易な「物件事故報告書」しか作成されません。
そうなると、過失割合を決める話し合いのときに、「あなたにも過失はあったんじゃないですか?」と言われかねません。
なので、事故の状況がはっきりを書かれている「実況見分調書」が必要になります。
どのような事故だったのか、詳しい資料はすべて事故ごとに作成されるものだと思っていましたが、現実は違うんですね。 物損事故で、次の要件を充たす場合には、実況見分は行われず、よって実況見分調書も作成されません。 ① 警察官による交通流の[…]
物損事故から人身事故へ切り替え・変更する方法
軽い接触事故で、事故直後は痛みがなくても、数日後に痛みが出てくることがあります。そうなった時は、交通事故に強い病院を受診しましょう。
「物損」でもいいやと思っていたが、やっぱり「人身」事故にする場合、どうしたらいいのでしょうか?
警察に人身事故の届出をする
管轄する警察署に医師の診断書を提出をします。
注意点
届け出は遅くても1週間以内にしましょう。警察の方はできれば翌日、遅くても3日後まで、と言ってました。
診断書は2週間の治療が必要と記載されている
整形外科の先生が書く診断書は頸椎捻挫で2週間と書いてあることが多いです。
なぜ2週間と書いてあるかというと、2週間しか治療できないということではなく、2週間を超えると、レントゲン所見がある場合や重度の症状がでているということのようなので、加害者側の刑事罰の責任が重くなるようです。その分岐点が2週間未満かどうかです。
むち打ちの場合は一般的に6ヶ月は通院可能です。
人身事故への切り替えはどのように?
以下のような流れになります。
警察署に連絡
「警察署の交通捜査係」へ連絡して、事故の日付を伝え、診断書を提出したい旨を伝えます。
人身事故現場を管轄する警察署へ申請に行く
現場を管轄している警察署に出向く必要があります。
怪我をした同乗者が一緒に警察署へ行く
同乗者のうち1人でも、診断書を提出すれば、その事故は人身事故として扱われます。
ですが、同乗者全員分提出できるのであれば、全員分提出したほうがいいでしょう。
後から保険金を請求するときに、トラブルにならないようにするためです。
被害者と加害者がどちらも警察署に出向く必要がある、と記載されているホームページもありますが、被害者と加害者は警察署では顔を合わせることは必要ありません。
それぞれに調書を作成をするだけです。
警察署に持って行く必要書類
人身事故に切り替えるには以下の書類が必要となります。
具体的には以下の2つです。
- 医師の診断書
- 印鑑(※シャチハタ、ゴム印は不可)
以下は現場で見ていますので、不要の場合もあります。一度警察の方に聞いてみましょう。
- 運転免許証
- 車検証と自動車損害賠償責任保険証明書(通称 自賠責)
- 事故車両(走行不能な場合はナンバー入りの写真)
切り替えの手続きは調書も含めて約30分程度です。
まとめ
加害者が人身事故に応じるかどうかは関係ありません。
事故の連絡は、保険会社としますが、保険会社は「人身事故にしなでください」とは言いません。
「物損事故の場合でも治療費は出しますよ」と伝えるだけです。
人身事故に切り替えるか物損事故のままにするかは被害者であるあなたが決めればいいことです。
ただし、物損事故の場合、被害者にとっては何一つメリットはありません。
慰謝料なし、治療費自腹、精神的苦痛のみ
どんな小さい事故でも人が同乗している間の事故であれば人身事故となりえます。
人身事故として処理をする場合は、しっかりとした慰謝料を損害賠償金として受け取ることができます。
弁護士への相談は無料です。着手金も無料です。
交通事故に強い弁護士に相談してみましょう。増額できた部分から弁護士費用を支払えますので、自腹を切ることはほとんどありません。
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