正社員共働き夫婦はマイホームを購入するときにペアローンで借りる夫婦も多いと思います。
また、結婚して子供がいないうちだと、「今後もお互いに稼げばいいし、収入も上がる」と思ってしまいます。
しかし、子供が生まれたりして、妻が産休に入ったとき、育休時、復帰しても時短勤務で収入が下がる。そして、ダブルパンチで保育園料もかかる、その他、オムツやミルクなどの日用品もお金がかかります。
なので、住宅ローンを借りる時は、ペアローンではなく、夫(妻)1人の給料でも支払っていける金額までしか借り入れをしないのが正解です。
低金利で借り入れをしやすい
2020年に入り、住宅ローンの金利が0.5%を切ったところもあり、お金を借りやすい状況にあります。
住宅ローンは自宅用ということもあり、返済が滞る滞納率がほかの融資に比べ極端に低く、保証会社を独立系に設定することにより、銀行がリスクを最小限に抑えることが可能なことから、貸し出し額が年々増加傾向にあります。
以前は、年収の5倍程度までしか金利の関係で借り入れできませんでしたが、金利が下がったことにより、借り入れの上限があがっています。
金利1%で貸し出したとすると返済負担率の調整前では、年収500万円の35年返済で5,000万円程度の貸し出しが可能です。
お互いの年収が500万円程度あれば、億ションを購入可能ということですね!
返済比率は?
【フラット35】の返済比率(返済負担率)の基準
年収 400万円未満 400万円以上 基準 30%以下 35%以下 例えば年収400万円の場合は返済比率(返済負担率)35%以下が基準となる。ということは、「400万円×35%」=140万円が年間返済額の上限だ。これを12カ月で割ると「140万円÷12カ月」=約11万6666円が毎月返済額の上限ということになる。
年収400万円の人が月々11万円もの住宅ローンを返済していけるでしょうか?
民間住宅ローンの返済比率(返済負担率)の基準の例
年収 100万円以上300万円未満 300万円以上450万円未満 450万円以上600万円未満 600万円以上 基準 20%以下 30%以下 35%以下 40%以下 この場合、年収400万円だと返済比率(返済負担率)30%以下が基準となり、【フラット35】よりも厳しくなる。だが、年収600万円以上の人は返済比率(返済負担率)の基準が40%以下なので、【フラット35】よりも基準が緩い。
どちらの計算を用いるにしても、全ては年収(額面)からの計算です。実際の手取りとは違います。
年収500万はどれくらいいる?
国税庁の「民間給与実態統計調査(平成30年分)」によれば、年収500万円台の人は全労働者のうち9.7%。年収上位3割に入る金額です。
また、男女別で年収500万円「以上」の層がどのくらいいるのかを見てみると、年収500万円以上の男性は41.1%、女性は10.5%となっています。
実際に年収500万円ずつの共働き夫婦で億ションが購入可能か?
理論上、年収500万円ずつの正社員共働き夫婦(世帯年収1,000万円)の場合、それぞれが5,000万ずつ借り入れができるように思えますが、夫婦でローンを組む場合、もしくは、妻(夫)が連帯保証人になる場合は、年収の半分までしか評価されません。
なので、例えば、
- 夫 年収500万円
- 妻 年収250万円
として、計算され、世帯年収は750万となります。
世帯年収750万円として計算される場合、借入可能額は7,500万になります。
7,500万円を金利1%(元金均等、ボーナス返済なし)で借り入れする場合、返済比率はどうなる?
年間288万のローン返済 ÷ 750万 = 38% になるので、フラット35では上限である35%を超えることになるが、民間金融機関は40%なので、借り入れ可能です。
本当に返済できる?
年収500万の正社員共働き夫婦の場合、一般的な会社でボーナスがあると仮定すると、
月給35万(手取り27万)
年間ボーナス80万(手取り66万)
年収 | 500万円 |
所得税 | 14万2300円 |
住民税 | 24万4300円 |
社会保険料 | 71万0253円 |
手取り | 390万3147円 |
夫婦で月手取りが54万ということになりますね。
そうすると、月24万円の住宅ローンを返済すると、月30万円手元に残る計算になります。
他の支出も計算すると?
世帯年収1000万円夫婦の平均(DINKS)
生活費 | |
---|---|
食費 | ¥70,000 |
光熱・水道費 | ¥25,000 |
家具・家事用品 | ¥20,000 |
被服及び履物 | ¥15,000 |
保険医療 | ¥15,000 |
交通・通信 | ¥45,000 |
教養娯楽 | ¥35,000 |
その他消費支出 | ¥50,000 |
夫婦のお小遣い | ¥40,000 |
計 | ¥315,000 |
月30万円残るのに、生活費を含めると月の収支はマイナスに転落します。
月の収支はマイナスだがボーナスも含めると貯金ができる範囲
年間収入:54万円(夫27万円 + 妻27万円)×12ヶ月 = 648万円 + ボーナス132万円(66万円 × 2名分) = 780万円
年間支出:31.5万円 × 12ヶ月 = 378万円 + 住宅ローン288万円 = 666万円
年間貯金額:114万円
こどもが生まれると?
子供が生まれると、妻は産休に入り、給料はなくなります。その分、育児休業手当はもらえますが、標準月額報酬の67%(産休、育休6ヶ月まで)、同50%(育休6ヶ月以降から最大2歳まで)となります。
この産休や育休手当の計算の元となる標準月額報酬は、ボーナスは計算に入れません。なので、上記の例の場合、35万を元に計算されることになります。
そうすると、
- 35万 × 0.67 = 23.4万円(育休6ヶ月まで)
- 35万 × 0.5 = 17.5万円(育休6ヶ月以降)
となります。
0歳児クラスから保育園に預けるとしても、1歳児クラスから保育園に預けるとしても子供が3歳になるまでは、時短勤務で仕事をすることがほとんどでしょうから、時短勤務中(6時間勤務の場合)の給料は 6 / 8 で75%となります。
フルタイムで働いていた時は手取り27万だったとすると、時短で働くことにより、手取り20万円ほどになります。
いくら残る?
収入:夫手取り27万 + 妻手取り20万 = 47万円
住宅ローン返済:24万円
残り:23万円
保育園料は?
自治体にもよりますが、夫婦で正社員として共働きの場合、約月4~7万円が多いようです。
そうすると、23万円 – 4万円 = 19万円
おむつ代、ミルク代、服代などは?
ミルクは月2缶くらいなくなります。だいたい5000円くらいですね。
おむつは保育園では4~5枚履き替えるので、平均すると月5000円くらいかかっています。
服代やその他合わせると、月1.5万円は経費として見ておくべきですね。
残り:19万円 – 1.5万円 = 17.5万円
その他支出は?
世帯年収1000万円夫婦の平均(子育て世帯)
生活費 | |
---|---|
食費 | ¥80,000 |
光熱・水道費 | ¥25,000 |
家具・家事用品 | ¥20,000 |
被服及び履物 | ¥15,000 |
保険医療 | ¥15,000 |
交通・通信 | ¥45,000 |
養育費 | ¥60,000 |
教養娯楽 | ¥35,000 |
その他消費支出 | ¥50,000 |
夫婦のお小遣い | ¥40,000 |
計 | ¥385,000 |
結果、全然足りない
月残り:17.5万円 – 38.5万円 = -21万円
ボーナス:66万 + 40万(時短勤務と仮定) = 年間106万円
-21万円 × 12ヶ月 = -252万円 + 106万円 = -146万円(妻が時短勤務で保育園料も合わせると、年間でこれだけのマイナスが!)
フルタイムに戻ったら?
収入:54万円(夫27万円 + 妻27万円)×12ヶ月 = 648万円 + ボーナス132万円(66万円 × 2名分) = 780万円
支出:38.5万円 × 12ヶ月 = 462万円 + 住宅ローン288万円 = 750万円
残り:30万円
フルタイムに戻ったとしても、子供の教育費がかかる分、DINKS時代と比べると、同じ世帯年収1000万円でも、年間貯金額に84万円の差が!
お金がかかる、ご近所付き合い
念願の1憶円のタワーマンションを購入したとして、周りにはどのような環境の方がいるのでしょうか。
共働き夫婦が増えたと言っても、タワーマンションの上層階は本当の富裕層が購入していることが多く、ライフスタイルが全然違うと思います。
そして、近所のレベルに合わせる、見栄を張ることにより、本来貯蓄するべき時期にお金は湯水のように消えていってしまいます。
子供にかかる教育費、大きくなるにつれ高額に
子供が小さいときには、時短勤務で給料減、ベビーシッター代、習い事のお金がかかり、子供がおおきくなるにつれ、塾代が数万円はかかります。
その頃にお2人の年収は当初からどの程度上がっているのでしょうか。
おそらく、夫婦で100万円前後上がっていたらいいほうじゃないでしょうか。
将来のシュミレーションは厳しめに
老後の資金のこともありますし、貯金はしないといけません。ただ、過度に住宅ローンを借り入れてしまうと、ローンの返済に追われ、貯金が一切できないどころか、子供の教育費も賄えません。
理想は単独でローン、手取りで返済比率を計算
夫(妻)単独でローンを組む
子供が生まれた後のことを見据えて、単独でローンを組むのがいいでしょう。
手取りで返済比率を計算
フラット35の場合
年収 | 400万円未満 | 400万円以上 |
---|---|---|
基準 | 30%以下 | 35%以下 |
上記で説明したこの返済比率は、年収を基準としています。ただ、この年収は税引前のものなので、実際に手にすることはない金額になります。
なので、実際に手元に入ってくる収入金額(390万)を計算に使うのがいいでしょう。
390万 × 35% = 136万円
月々113,000円の返済ですね。
いくら残る?(時短勤務での計算)
年間収入:47万円(夫27万円 + 妻20万円)×12ヶ月 = 648万円 + ボーナス106万円(66万円 + 40万円) = 670万円
年間支出:38.5万円 × 12ヶ月 = 462万円 + 住宅ローン136万円 = 598万円
年間貯金額:72万円
時短で勤務しているときは、家計が苦しくなりますよね。貯金のペースは落ちますが、なんとか黒字を確保することが大切です!
いくら残る?(フルタイムでの計算)
年間収入:54万円(夫27万円 + 妻27万円)×12ヶ月 = 648万円 + ボーナス132万円(66万円 × 2名分) = 780万円
年間支出:38.5万円 × 12ヶ月 = 462万円 + 住宅ローン136万円 = 598万円
年間貯金額:182万円
この金額なら教育費の貯金もしつつ、老後の資金を運用に回せますね。
いくら借り入れできる?
約3,800~3,900万円くらいの借り入れなら余裕を持って、返済できそうです!
マンションの場合は、管理費と修繕積立金に注意!
マンションの場合、ローン返済とは別に、管理費と修繕積立金の支払いがあります。
ここは、返済比率には計算されませんので、計算に入れるかどうかは自分で決めることができますが、最初に入れて計算しておくべきでしょう。
なので、月2万円(各1万円の管理費と修繕積立金)を支払うと仮定して、年間24万円 × 35年 = 840万
余裕を持って返済できる金額の3,800万円 – 840万 = 2,960万円
まとめ
世帯年収1000万円で子供の教育費、老後の資金のことを考えると、住宅ローンは3,000万円前後で組むのが、家計に負担をかけず、黒字化を毎年維持していける水準ですね。
・返済比率は手取りを基準に計算する