出産の年は、子供が生まれてからすぐにNICUに入ったりするなど、予定をしていなかったハプニングが起きることがあります。
入院しないといけない場合、治療費の請求ってかなりの高額になりますよね?
もしくは、年間で定期的に通院している場合、合計するとけっこうな金額をつかっていることもあるかと思います。
そんなときは、確定申告で医療費の控除ができます。
実際使ってみた感想と1年間領収書を貯めて計算するだけの労力に見合った還付があったのかを解説します。
医療費控除とは
医療費控除とは、1年間で支払った医療費の合計が一定の金額を超えたときに、その医療費を基に計算した金額分の「所得控除」を受けることができる制度です。
所得控除とは、課税する所得には入れずに経費として計算してね、というものです。なので、書類上の所得金額が減り、結果的に税金がやすくなります。
サラリーマンなど給与所得者の方は給料をもらう時点で税金が差し引かれていますよね?なので、支払った税金の一部が「還付金」というかたちで戻ってきます。医療費控除は年末調整ではできないので、翌年の確定申告の時期に申告します。
医療費控除が使えるのは、病院代などの医療費が年間10万円を超えた分を経費とすることができます。
生計を一つにしている家族の分も一緒に確定申告することができます。
*「生計を一にしている家族分」とは、一人暮らしの学生、仕送りをしている両親なども含まれます。
一緒にすんでいることだけが生計を一つにしている家族というわけではありません。
控除額の最高限度は200万まで
控除額の最高限度は200万ですが、年間200万円の医療費を払うこと自体ありえないでしょう。
所得に応じて計算方法が異なります。
所得200万円以上の場合
医療費控除額=【医療費負担額】 −【保険金等で補てんされる金額】−10万円
◎所得200万円未満の場合
医療費控除額=【医療費負担額】 −【保険金等で補てんされる金額】−年間所得の5%
計算式にある【補填される金額】とは、出産一時金や保険会社から支払われる賠償金です。
交通事故で「第三者行為による傷病届」を提出をして、健康保険で通院しており、その通院費を保険会社に補填してもらった場合も、プラスマイナスゼロと考えるので、医療費控除には使えません。
つまり、年間10万円を超える医療費の支払いがあったとしても、保険金などで補填されるのであれば、この制度は使えないということになります。
子ども医療費助成制度を使う場合も同様です。県外で受診したときに、窓口で支払いがありますが、後日還付されますよね?ということは、実質負担はゼロとなります。ゼロになる場合は活用できません。
医療費控除の対象となるもの、対象とならないもの
支払った医療費のすべてが控除の対象になるというわけではありません。
医療費控除の対象になる医療費は、病気やケガの治療、分娩などを直接の目的とした費用です。たとえば、入院代や食事代などです。薬代も含まれます。
控除の対象にならない医療費は、病気やケガの治療などの医療の部分でないもの。たとえば、サプリメント代や個室などを利用した場合のベッド代(差額分)などです。
じゃあいくら還付される?
実際に還付される金額は【控除額】×【所得税率(所得によって変わります)】で算出されます。

◎Aさん:年間所得500万円、入院・手術費50万円
医療費控除額40万円=50万円-10万円
◎Bさん:年間所得700万円、出産・入院費60万円、出産一時金42万円
医療費控除額8万円=60万円-42万円-10万円
Bさんの方がより多くの医療費を支払っていますが、出産一時金42万円が支給されているので、実際は18万円の負担となります。
そこから医療費控除の下限である10万円を引くと、8万円という数字がでてきます。
じゃあ8万円税金が戻ってくるの?
18万円の支払いで8万円が戻ってくるとすると、実質負担は10万円となり、かなり軽減される?と計算する人もいそうですが、
実際の計算はこの8万円に所得税率を掛けて計算します。
Bさんは年間所得700万なので18,400円の控除
年間所得700万円は、税率は23%です。
なので、8万×23% = 18,400円の控除となります。
また、住民税も還付の対象です。
計算方法は、住民税の還付金 = 【医療費控除額】×【住民税率10%】。
Aさんは4万円(40万円×10%) 、Bさんは8,000円(8万円×10%)の住民税が軽減されます。
共働きの場合は所得は合算する?
じゃあ医療費控除を受けようと思った時に、自分と妻と子供とすべてまとめて医療費控除の申告をするとします。じゃあ、所得も合算するのかな?と疑問に思いますが、確定申告は、どちらか片方の給与所得額を元に計算します。
なので、年収は合算しません。税金の還付を受ける場合、たとえ、妻が頻繁に病院に通って、治療費の合計が高かったとしても、夫の方が年収が高ければ、夫が確定申告するほうがより多くの還付金を受け取ることができます。
セルフメディケーション制度
医療費控除の特例「セルフメディケーション税制」
「医療費は年間数万円いくかいかないか」という方で、下記にあてはまる方はこちらで還付金を受け取れる可能性もあります。
年間(1/1〜12/31)で1万2,000万円以上の対象医薬品を購入した世帯です。
(注意点:医療費控除とセフルメディケーション制度、どちらを使うのかを決めないといけません。併用☓)
なので、薬局で薬だけを買って、病院にあまり行っていない方が対象ですね、薬局でレシートをもらうと★がついていて、セルフメディケーションの対象ですよ!と書いてあります。そのレシートを保管しておき、確定申告で申告することで還付を受けれます!
2年間コツコツレシート貯めて医療費控除をした結果は?
所得税還付金1万6,000円=8万円×20%住民税還付金8,000円(8万円×10%)合計24,000円
所得税還付金2,000円=1万円×20%住民税還付金1,000円(1万円×10%)合計3,000円
出産の年は、出産に関わる費用で一度に高額の出費があったので、領収書も集める必要もありませんでしたが、2年目は年間でコツコツレシートをためていきました。
そして、すべてのレシートを合計した結果が、11万で、還付がなんと3,000円。
これなら手間ばかりとられて、控除の金額に対して割に合わないというのが正直なところですね。これなら、仕事に集中したほうが良さそうですね!