30~40代の子育て中の共働き夫婦は、仕事と育児で忙しいので、家計のことを話し合う時間があまりない家庭もあるのではないでしょうか。
「貯金は妻に任せている」という夫や「夫の収入は把握していない」という妻など。
日々のストレスや時間のなさから外食が多くなったり、趣味に使うお金が多くなったりするなど蓋を開けてみたら貯金が思うようにできていなかった・・・ということも。
将来、「子供の教育費が足りず、通いたい大学に通わせることができない」「大学に通わせることはできるけど、家計が毎年赤字で老後資金を貯めることができない」なんてならないように夫婦で家計のことをしっかりと話し合い、お互いの収入を把握して、先取り貯金をして「自然とお金が貯まる家計」を目指していくべきです。
夫婦の収入を把握して家計を見える化
家族になるということはそれぞれの収入はそれぞれ個人のものではなく、家族の共有の財産となります。
「へそくりで内緒にしておきたいお金」もあるでしょうが、「自然とお金が貯まる家計」を目指すには、お互いが独自に貯めている貯金額、趣味に使うお金など相手に見ていないお金、ブラックボックスを無くさないといけません。
マイホームを購入したり、子供の教育費を貯金したり、老後のためにいくら貯金しないといけないのかなど夫婦で話し合うことはたくさんあります。
「え!?俺(私)はそっちがちゃんと貯金してくれてると思って!」なんてならないようにしないといけません。
現在の家計と将来の家計状況の把握
まず最初にやるべきことは、家計の把握です。
- お互いの月収(手取り)とボーナス(手取り)の金額を把握
- 生活費(家賃(住宅ローン)、光熱費、通信費、食費、日用品、通勤費、保険、車関連費など)などを把握
- 子供の教育費にいくら必要なのかを把握(保育園~大学費用)
- 厚生年金の支給額と夫婦の老後で必要となる金額を把握
お互いの収入を把握
収入を把握するときは、すべて手取りで計算します。例えば、
夫:月(手取り)25万円 ボーナス(手取り)80万円(40万円×2回)
妻:月(手取り)20万円 ボーナス(手取り)60万円(30万円×2回)
生活費を把握
まずは月いくらの費用がかかっているのかを計算します。
クレジットカードで決済していれば、過去1年分の履歴を振り返り、平均で算出するといいでしょう。
生活費(月間支出) | |
---|---|
住宅ローン(残債1200万、28年)30年ローン | ¥45,000 |
管理費(修繕積立、管理費) | ¥22,000 |
水道 | ¥6,000 |
光熱費(電気、ガス) | ¥20,000 |
通信費(スマホ) | ¥8,000 |
食費 | ¥35,000 |
保険(生命保険、県民共済、夫2000円、妻2000円) | ¥4,000 |
インターネット費用 | ¥5,000 |
日用品 | ¥20,000 |
ガソリン代 | ¥13,000 |
駐車場代 | ¥7,000 |
通勤代(電車) | ¥5,000 |
医療費 | ¥4,000 |
確定拠出年金(夫:2.3万円、妻:2.3万円) | ¥46,000 |
お小遣い(夫3万円、妻3万円) | ¥60,000 |
合計 | ¥300,000 |
そして月々は費用がかからないけど、発生する費用を書き出します。
自動車保険や車検代、家電の買い替えなどは毎月かかる費用ではないので、見落としがちですが、概算の費用を年で割って書き出しましょう。
ボーナス支出(年間で計算) | |
---|---|
住宅ローン(10万x2回) | ¥200,000 |
固定資産税(年間) | ¥85,000 |
保険(火災保険、自動車保険) | ¥36,000 |
車維持費(車検、自動車税、メンテナンス、1年平均) | ¥130,000 |
帰省、レジャー、家電買換などの雑費 | ¥70,000 |
合計 | ¥521,000 |
そうすると、家計の必要生活費の全体像が見えてきました。
教育費にいくら必要か把握
小学校は公立に通い、中学校から大学まで私立に通った場合は、1,047万円
すべて私立に通った場合は1,770万円の教育費がかかります。
計算の基本はかかる経費は多めに見積もっておくのがベターです、
突発的にかかる費用や想定外の費用に備えるためです。
夫婦の老後資金を把握
生命保険文化センターが行った意識調査によると、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考える最低日常生活費は月額で平均22.1万円となっています。また、ゆとりある老後生活を送るための費用として、最低日常生活費以外に必要と考える金額は平均14.0万円となっています。その結果、「最低日常生活費」と「ゆとりのための上乗せ額」を合計した「ゆとりある老後生活費」は平均で36.1万円となります。
厚生年金の試算は日本年金機構から確認できます。
正社員共働き世帯 | 共働き世帯 | 専業主婦世帯 | |
---|---|---|---|
国民年金(老齢基礎年金) | 130,016円(2人分) | 130,016円(2人分) | 130,016円(2人分) |
厚生年金(老齢厚生年金) | 182,976円(2人分) | 139,243円(2人分) | 91,448円(1人分) |
合計 | 312,992円 | 269,259円 | 221,504円 |
正社員の共働きを維持すると生涯受け取れるお金がこれだけ違う!
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お互い正社員として働き続けたとしても、「ゆとりある老後生活費」である平均36.1万円には、約5万円足りません。
65歳まで働くとして、夫婦で90歳まで生きるとすると以下のような試算になります。
月5万円(年間60万円)× 25年 = 1,500万円の不足
内閣府が発表した、令和元年版『少子化社会対策白書』によると、日本人の平均初婚年齢は、2017(平成29)年で、夫が31.1歳、妻が29.4歳でした。
そして、約30歳で結婚したとすると、30年間で1,500万円を老後資金のために貯めないと老後資金が枯渇するか、旅行などゆとりある生活に制限がかかる可能性があります。
1,500万円 ÷ 30年 = 年50万円(約月4.2万円)の老後積立が必要
になります。なので、
実際に使えるお金は?
生涯の必要費用を引いて計算すると、月々に使えるお金は夫2.5万円と妻1.6万円しかないことが分かります。
ボーナスは、夫:ボーナス(手取り)80万円(40万円×2回)と妻:ボーナス(手取り)60万円(30万円×2回)で140万円あります。そして、
ボーナス年間支出 | ¥521,000 |
で残るお金は、約88万円あります。
この残った夫月2.5万円と妻月1.6万円と夫婦ボーナス年88万円の中から、旅行費、車の買い替え、趣味に使うお金などを貯めていくことになります。
それぞれ何にいくら使うのかは夫婦それぞれですから、話し合って決めたらいいんじゃないでしょうか。
後悔しないためにも知っておくべき注意点
注意点としては、子供が生まれてからは給料がなくなり、職場復帰下としても時短勤務になるなど、家計が苦しくなる時期が絶対に出てきます。
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夫婦で話し合い家計の負担割合を決める
「家計の見える化」が終わった後は、夫婦の収入をどのように管理するのかを話し合います。
例えば、お互いに
- いくらずつ毎月貯金する?
- 生活口座の負担割合はどれくらいにする?
などです。
夫:月(手取り)25万円と妻:月(手取り)20万円に対して、
月間必要経費 | |
---|---|
生活費 | ¥300,000 |
教育費 | ¥67,000 |
老後資金 | ¥42,000 |
合計 | ¥409,000 |
なので、収入の割合に応じて経費の負担割合を決めるとすると、夫22.5万円(55%分)と妻18.4万円(45%分)になります。
正社員共働き夫婦は、お互いに自立していて、しっかりとした収入があります。 なので、家計を管理するときはの生活費などの負担割合は収入に応じて設定する夫婦も多いでしょう。 お互い不満がなくなりますからね。 しかし、状況はいつま[…]
夫婦の生活費引き落とし口座を作る
夫婦の生活費の口座は別で作って管理すると、最初に話し合った費用でちゃんと収支が合っているのかを確認しやすいです。
生活口座に入金するのは、最初に設定した月々の生活費1ヶ月分です。(足りなかったときのために2万円ほどプラスで入金)
1年1回の見直しでちゃんと収支が合っているかを確認できます。
口座にお金が残っていれば予定通り家計をしっかり管理できているということになりますし、予備費用も減っている!ということなら家計の見直しが必要です。
先取り貯金ができたらいいわけではない?
夫婦で話し合い、お互いがいくら貯金するのかが決まったら、その設定した金額を積み立て貯金口座へ強制的に積立てていきます。
夫婦で新しい口座を作ってお互いが積立てていってもいいのですが、生活費用の口座として夫婦の口座を使いたいので、それぞれの口座で積立てていくことがベターです。

子供が小さいうちは教育費はあまりかかりません。なので、子供が小さいうちから大学費用を貯めていかないといけません。 10年以上期間があるのであれば子供の大学費用は「投資信託(NISA口座を含む)」で運用するのも一つの方法です。 同[…]
まとめ
子育てをしている30~40代の正社員共働き夫婦の家計管理は、
- お互いの月収(手取り)とボーナス(手取り)の金額を把握
- 生活費(家賃(住宅ローン)、光熱費、通信費、食費、日用品、通勤費、保険、車関連費など)などを把握
- 子供の教育費にいくら必要なのかを把握(保育園~大学費用)
- 厚生年金の支給額と夫婦の老後で必要となる金額を把握
生涯にかかる費用を計算します。
そして、夫婦でいくら負担するのか収入に応じて負担割合を決めます。
負担割合を決めたら、夫婦で管理する口座を開設して、生活費や教育費などを積立てて行きます。
そして、娯楽費などの趣味に使う部分とお互いの貯金に関しては個々に積立てをしていきます。
そして、家計は1年に1回収支が合っているかを見直します。